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アジア太平洋地球変動研究ネットワーク

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脱炭素社会(カーボンニュートラル)実現に向けたSDGs国際フォーラム 開催報告(動画あり)

2022年12月23日、APNは、兵庫県、IGESとともに、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)実現に向けた国際フォーラム)」を開催しました。本フォーラムの模様は、神戸の会場(ラッセホール)から、日英同時通訳付でオンライン同時配信され、国内外から約320名(会場約70名、オンライン約250名)の方が参加しました。

持続可能な社会の実現を目指す「カーボンニュートラル」や「SDGs」は、世界共通の目標となっています。SDGsの理念を共有するとともに、様々な分野の先進的取組や知見を交えることで、県民・事業者の皆様に、地域からカーボンニュートラルの実現に向けた取組についての認識を深めていただくことが必要です。このたび、本フォーラムは、「地域から世界を先導する脱炭素社会の実現~エネルギーの地産地消による地域循環共生圏(ローカルSDGs)の創出~」をテーマに、2部構成で開催しました。

開催にあたり、齋藤元彦兵庫県知事より開会挨拶を行いました。齋藤知事は、県のSDGsの取組を国内外に発信する機会として、2025年の大阪・関西万博を活用し、「ひょうごフィールドパビリオン」を全県で展開していくとともに、社会課題の解決と地域経済の活性化の両輪をSDGsの達成とともに追求し、県全体のブランド価値の向上に繋げていくとし、さらに、グローバルな課題である気候変動、脱炭素に対応するため、神戸港での水素運搬実証実験や、播磨臨海地域でのカーボンニュートラルポート構想を進めていくと述べました。

開会挨拶
齋藤元彦 兵庫県知事

第1部では、初めに、武内和彦IGES理事長より、「SDGsを活用した地域循環共生圏(ローカルSDGs)の概念について」をテーマに、基調講演を行いました。武内理事長は、地域循環共生圏は、SDGsを統合的に捉え、そのローカルな展開を目指す手法であり、地域循環共生圏をベースにしながら脱炭素社会を考えることで、地域の人々の経済や暮らしの向上に貢献するとし、兵庫県が進める「北摂里山地域循環共生圏」の取組は、地域循環共生圏実現の先駆的モデルとなりうると述べました。

基調講演
武内和彦 IGES 理事長

続いて、齋藤知事と武内IGES理事長より、「兵庫県の環境分野におけるSDGsの取組について」をテーマに、対談を行いました。始めに、県のSDGsの取組について、齋藤知事から、全庁的な推進体制を構築し、経済界ともプラットフォームを設置し、Z世代と言われる若者の参画を促していくと述べました。武内理事長からは、県のSDGs の取組に対するレビュー(評価)を実施するよう提案し、齋藤知事もその提案に賛同しました。次に、地域循環共生圏(ローカルSDGs)について、武内理事長から、北摂の里山は、エネルギー資源としてバイオマスを利用するだけでなく、地域で維持されてきた文化や環境を守り、高付加価値型の産業育成を図っていくことができると述べました。齋藤知事からは、佐渡市の取組のモデルとなった、豊岡市の「コウノトリ育むお米」のように、生物多様性保全型の農林水産物としてブランディングすることにより、ローカルな取組を世界に発信していきたいと述べました。

第2部では、脱炭素社会の実現に取り組む各分野(エネルギー、気候変動影響、デジタル、金融、行政)の5名のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。「地域循環共生圏(ローカルSDGs)の創出に向けた取組について」をテーマに、各分野の先進的な取組や課題について、コーディネーターの進行により、意見交換を行いました。意見交換のトピックとして、地域エネルギー会社設立による地域のメリットや課題、グローバルな知識を地域化する新しい仕組みづくり、ICTを活用したエネルギーマネジメントシステム、県と連携した融資制度への反響、再エネ導入に向けて地域での取組を拡大する際の課題が挙げられました。続いて、参加者との質疑応答では、省エネの取組へのデジタル活用、バイオマスの課題と可能性、県民に危機感を実感してもらえるような取組についてやり取りがなされました。

最後に、富坂隆史APNセンター長より閉会挨拶を行いました。富坂センター長は、本日の参加者が、地域からの脱炭素社会を実現するうえで、本フォーラムで紹介された様々な分野の先進的取組や知見からヒントとなるアイデアを受け取っていただき、次のアクションに繋げていただきたいと述べました。

閉会挨拶
富坂 隆史 APN センター長

フォーラム終了後、参加者から回答いただいたアンケートでは、今回のフォーラム全体の感想として、「非常に良かった」(21%)と「良かった」(66%)を合わせて87%となるなど、大変好評をいただきました。また、基調講演では、「SDGsの取組が地域循環共生圏の構築に繋がることがよく分かった。」、対談では、「県の取組は既に他地域が参考にしている先進的なものもあり、さらなる可能性の認識ができた。」、パネルディスカッションでは、「各界の最新の取組がバランス良く語られた。」という感想をいただきました。

APNでは、今後も、兵庫県、関係機関、研究機関などと連携しながら、県民の皆さんと環境問題についての認識を深めるための取組を進めてまいります。

当日のプログラムは、こちらよりご覧ください。