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アジア太平洋地球変動研究ネットワーク

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生物多様性に向けたSDGs国際フォーラム 開催報告(動画あり)

2023年10月24日、APNは、兵庫県、IGESとともに、「生物多様性に向けたSDGs国際フォーラム」を開催しました。本フォーラムの模様は、神戸の会場(ラッセホール)から、日英同時通訳付でオンライン同時配信され、国内外から約400名(会場約110名、オンライン約290名)の方が参加しました。

2022 年12 月に新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。本フォーラムは、ネイチャーポジティブ(自然再興)の実現に向けた国内外の最新の動向を共有するとともに、地域課題として捉えた生物多様性について、先進的取組や知見を交えることで、県民、事業者の皆さまとともに、地域でのSDGs の実践(ローカルSDGs)について考えました。

開催にあたり、齋藤元彦兵庫県知事より開会挨拶を行いました。
齋藤知事は、「県は今年5月に内閣府の「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」に選定され、その核となる取組「ひょうごフィールドパビリオン」を展開しており、2025年大阪・関西万博を見据え、地域価値の向上などを目指していく。また、但馬地域を中心に、コウノトリの野生復帰や環境創造型農業の展開、瀬戸内地域では、豊かな美しい里海の再生などに取り組んでおり、日本の縮図とも呼ばれ、多様な自然環境と共に歩んできた兵庫だからこそ、「生物多様性」の先進地として、プレゼンスを発揮できる。」と述べました。

開会挨拶
齋藤元彦 兵庫県知事

第1部では、初めに、武内和彦IGES理事長より、「2030 年ネイチャーポジティブ実現への道筋」をテーマに、基調講演を行いました。
武内理事長は、「生物多様性に関して、2030年までに自然の損失を食い止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現を目指しており、2030年までに陸と海の30%以上を保全する新たな世界目標(30 by 30目標)の採択など、ネイチャーポジティブの実現に向けて、行政のみならず、民間企業、市民団体など多様な主体の参加が不可欠だ。」と述べました。

基調講演
武内和彦 IGES 理事長

続いて、齋藤知事、渡辺竜五佐渡市長及び武内理事長により、「地域から進める生物多様性とSDGs について」をテーマに、鼎談を行いました。
鼎談では、齋藤知事と渡辺市長から、兵庫県と佐渡市で共通する、コウノトリとトキの野生復帰につながる環境創造型農業などを紹介し、武内理事長も交え、生物多様性や持続可能な地域経済・社会づくりについて意見交換しました。武内理事長からは、生物多様性と農業や文化などを結びつける両自治体の取組を評価いただきました。

鼎談
齋藤元彦 兵庫県知事
渡辺竜五 佐渡市長
武内和彦 IGES理事長

第2部では、スニータ M スブラマニアン 国連大学サステイナビリティ高等研究所リサーチフェローより、「単独の枠組みを超えて~生物多様性の確保によるSDGsの達成~」をテーマに講演を行いました。
スブラマニアン博士は、「生物多様性の確保は、私たちの「暮らしそのものに対する生命保険」であり、生物多様性は自然界だけの問題ではなく、我々のウェルビーイングに影響を与えるものであり、「自然との共生」は単なるキャッチフレーズではなく、私たちのモットーにするべきだ。」と訴えました。

講演
スニータ M スブラマニアン 国連大学サステイナビリティ高等研究所リサーチフェロー

最後に、富坂隆史APNセンター長より閉会挨拶を行いました。
富坂センター長は、生物多様性は、その保全だけでなく気候変動への適応、生物循環型グリーン経済、人間の福祉と多岐にわたって影響が及ぶので、本日の参加者が、生物多様性に向けた取組を通じて、地域でのSDGsの実践(ローカルSDGs)を実現するうえで、本フォーラムで紹介された先進的取組や知見からヒントとなるアイデアを受け取っていただきたいと述べました。

閉会挨拶
富坂隆史 APNセンター長

フォーラム終了後、参加者から回答いただいたアンケートでは、今回のフォーラム全体の感想として、「非常に良かった」(26%)と「良かった」(61%)を合わせて87%となるなど、大変好評をいただきました。また、「兵庫と佐渡の取組が、まさしくネイチャーポジティブの実現に向けた取組であり、環境のみならず、地域経済と共鳴した取組である。」、「世界的な視点での生物多様性の考え方が明確になった。」、「生物多様性の必要性や、文化的視点の大切さを知った。」という感想をいただきました。

APNでは、今後も、兵庫県、関係機関、研究機関などと連携しながら、県民の皆さまと環境問題についての認識を深めるための取組を進めてまいります。

当日のプログラムは、こちらよりご覧ください。