2021年12月23日、APNは、兵庫県とともに、「SDGs・気候変動×食品ロス*~グローバルな視点と身近な視点から考える~」を兵庫県民会館及びオンラインで開催し、78名が参加しました。本フォーラムでは、兵庫県が、2050年までの脱炭素化社会(カーボンニュートラル)を目指して地球温暖化対策に取組む中、県民の皆様に「SDGs・気候変動×食品ロス」について、グローバルな視点とともに、身近な視点からも考える機会を提供しました。当日、会場では、食品ロス削減の一環として、「フードドライブ」(家庭で余っている食品を持ち寄り、必要としている生活困窮者や福祉施設に配付する活動)のブースが設けられました。
*「食品ロス」とは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。日本の食品ロス量は年間600万トンにも及び、近年グローバルな観点から、「食品ロス」が持続可能な開発や、気候変動に及ぼす影響が指摘されています。
フォーラムの開会にあたり、最初に、兵庫県環境部長の遠藤英二より挨拶がありました。気候変動、脱炭素については、イギリスでCOP26が開催されるなど、世界的な合意が得られたこと、兵庫県においても、国と同様、2050年までにカーボンニュートラルを目指していること、また、SDGs(脱炭素、貧困、資源循環)の観点からも食品ロスの取り組みを進めているという話がありました。
第一部の講演では、最初に、神戸大学大学院農学研究科の田中丸治哉教授から、「水の循環と農業に使う水」と題して講演いただきました。食料生産にはいかに大量の水が必要であるか、地球上で利用できる淡水資源がいかに限られ、人間による水資源の確保のためにいかに環境が影響を受けているか、また、持続可能な水田農業や、持続可能な灌漑について、海外の事例研究を交えてお話がありました。続いて、神戸大学大学院経済学研究科の小島理沙特命講師から、「SDGs×食品ロス 食品ロスダイアリーアプリを活用した調査研究」と題して講演いただきました。食品ロス削減のための取り組みとして、食品ロスダイアリーを記録することで、意識が高まり、実際に食品ロスが減少することについてお話がありました。
第二部では、兵庫県(兵庫県農政環境部環境創造局環境政策課の葉澤恵子主幹)、神戸市(神戸市環境局環境政策課の清水充則担当係長)、及び、兵庫県立社高等学校生活科学科の生徒の皆さんから事例発表がありました。
3団体の事例発表を受けて、第一部の講師の方より講評がありました。兵庫県や神戸市は、一般的に広まっていないフードドライブを積極的に進めており、今後の発展に期待すること、兵庫県は広いため効率的な供給網の構築が重要であること、神戸市は率先して企業連携を進めているとの講評をいただきました。また、兵庫県立社高等学校は、地産地消やそれに基づく実証的な活動が地域活性化につながっていること、地方創生の本質を実践的に理解しているとの講評をいただきました。
最後に、外山洋一APNセンター長より閉会の挨拶がありました。今回のフォーラムで、初めて食品ロスをテーマに取り上げたが、食品ロスはSDGsの様々な目標に関連する幅広いテーマであり、私たち一人一人が食品ロス問題への関心を深め、正しい知識に基づいて、身近なところから取り組みを進めていく必要があるという話がありました。
フォーラム終了後、参加者から回答いただいたアンケートでは、フォーラム全体の感想として、「非常に良かった」(38%)と「良かった」(52%)を合わせて9割となるなど大変好評をいただきました。また、食品ロスに焦点をあてた大規模なフォーラムはあまりなかったので非常に良いイベントだと思った、1人1人の意識が大事だと思うので自らもできることから実践していきたいという感想をいただきました。
APNでは、今後も、兵庫県、研究機関及び関係機関などと連携しながら、県民の皆さんと、環境問題についての認識を深めるための取り組みを進めてまいります。
当日のプログラムは、こちらよりご覧ください。