2021年2月15日、APNは、兵庫県及び公益財団法人地球環境戦略研究機関とともに、「地域循環共生圏フォーラム – 再生エネルギーの導入による地域循環共生圏の創出 – 」を開催しました。
当セミナーは、兵庫を中心に活動している再生可能エネルギー事業者や関係者の取り組みを通じて地域循環共生圏の考え方とその重要性について認識を深めるとともに、今後の展開に向けた課題や各主体の取り組むべき役割などを考える契機とするために開催されたものです。
開会に先立ち、井戸知事が挨拶され、兵庫県が2050年カーボンニュートラルを宣言したことを紹介され、今回のフォーラムで地域循環共生圏の考え方が浸透し、カーボンニュートラルに向けた大きな一歩となることを期待している、と述べられました。
基調講演では、IGESの武内理事長が地球規模での環境の現状やSDGsの取り組み、それを実現するための地域循環共生圏という考え方は、脱炭素、資源循環、自然共生を地域で統合的に実現するための手法であり、持続可能な地域づくりを実現するための手法であること、そして地域循環共生圏の創造には、行政のみならず、民間企業、市民団体など多様な主体の参加が不可欠であるとお話しされました。
次にAPNが招聘した、慶応大学大学院政策メディア研究科教授で、APNが2020年度に採択した研究事業のプロジェクトリーダーを務めるショウ・ラジブ氏が、「人、まち、自然の共存:持続可能な未来に向けて」という演題で、過去の豪雨災害等を事例に、ステークホルダーがそれぞれに役割を果たしながら連携すること、そのためには「GET(Governance ガバナンス・政策、Education 教育・学習、Technology 技術)」の3つのアプローチが重要であると述べられました。
続いて、IGES関西研究センターの前田副所長が、兵庫県の北摂地域を中心にバイオマスエネルギーの活用状況等を説明され、兵庫県は大きなポテンシャルを持っている、様々な主体が連携していけば大きなうねりになる、と今後の活動への展望などを話されました。
パネルディスカッションでは、各団体の取り組みが紹介され、ため池を活用したソーラー発電事業、六甲水系の発電事業やバイオマス発電、電力を地産地消するという新しい考え方など、ユニークかつ有意義な取り組みが紹介されました。それぞれの取り組みを聞いたラジブ氏は、パリ協定の中でも、ローカルという言葉が何度も出てくる、取り組みはそれぞれでも目指すところは同じであり、多様に関連している。統合性が重要であり、自治体はそのプラットフォームを設定し、役割はそれぞれが主体的に果たすことが肝要とコメントされました。
新型コロナウィルス感染症に係る緊急事態宣言下での開催でしたが、オンラインを中心とし、会場では最大限の感染防止の配慮をしたうえでのハイブリッド開催としました。ほとんどの方はオンラインで参加されましたが、計200名を超える方々に参加いただいたことが、環境問題への関心の高さを示していると思います。APNでは、今後とも周辺の関係機関、大学等の研究機関などと連携しながら、住民の皆さんと環境問題についての認識を深めるための取り組みを進めてきたいと考えています。