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アジア太平洋地球変動研究ネットワーク

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第19回APN政府間会合が終了し、今年度の活動が正式に承認されました

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2014年3月21日、シェムリアップ、カンボジア —APNの最高決定機関であるIGM(政府間会合)が新規および継続プロジェクトの2014年度の助成を決定いたしました。これによりアジア太平洋地域の地球変動研究においてさらなる多角的な問題解決への道筋がひらかれることでしょう。

APNは第19回となる年次政府間会合をカンボジア政府の主催によりおこない、そこにおいて科学企画グループと能力開発委員会からの推薦をもとに、24の地域的研究プロジェクトと12の能力開発プロジェクトへの助成が承認をうけました。これらは数年にわたる継続プロジェクトと2013年度のプロポーザル募集に応募があった103のプロポーザルより選考された新規の研究プロジェクトです。

それぞれのプロジェクトの研究テーマは2013年度のプロポーザル募集の関心分野のもと、幅広い領域に及ぶものとなりました。2013年度のプロポーザル募集の総括は2014年の4月に正式発表されます。

地球変動研究にとって重要な節目

開会の挨拶ではカンボジア環境省大臣のH.E. Say Samal氏より、「今回のイベントは地球変動の影響にたずさわっているすべての地球変動研究関係者にとって重要な節目となるでしょう」との言葉をいただきました。「この3日間ここで共有される知識と情報が、科学・政治・経済を包括した行動的な研究と地球環境変化への全体的なアプローチがいかに重要であるかを明確にしてくれるとこでしょう。」

今回、多くのプロジェクトがAPNのあらたなフレームワーク領域から承認されました。生物多様性と生態系サービス(B&ES)・低炭素イニシアティブ(LCI)・気候変動適応/災害危機管理(CAF)の3つです。

特に生物多様性と生態系サービス(B&ES)は2014年度の一番の優先課題となるでしょう。承認プロジェクト全体の実に23%が B&ES関連のプロジェクトでした。こうしたB&ESプロジェクトの成果は加盟国政府と関係者間で共有されることになります。その中にはIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)も含まれています。

APNはこれからも地球環境変動問題において、地域内および国際的なパートナーとともに科学と政策の相互関係構築を進める活動を続けていきます。またインドのプーネで2015年の1月に開催される科学政策のための対話にも参加する予定です。

IGMはまた政策決定や計画の現場での3R戦略 (Reduce(リデュース減らす)・ Reuse(リユース再利用)・ Recycle(リサイクル))を推進し、資源を効果的に利用する回復力のある社会をつくる戦略的フレームワークにも協定しました。これはハノイ3R宣言(Ha Noi 3R Declaration — Sustainable 3R Goals for Asia and the Pacific for 2013-2023)の実施にも貢献することでしょう。

戦略計画フェーズ4に向けて

IGMは戦略計画に関する業務についても審査を行いました。そして戦略計画フェーズ3(2010-2015)の報告書作成と戦略計画フェーズ4 (2015–2020)についての業務計画について承認しました。

APNの戦略計画フェーズ4はFuture Earth構想(現存の地球変動研究プログラムであるDiversitas・IGBP・IHDP・WCRP・ESSPを統合し新たな枠組みを構築する構想。これらの組織はAPNにとっても重要なパートナーである)の進行と時を同じくするものです。

こうした背景からも、“APNは今後いかにして国際的研究コミュニティーとの連携を強化していくか”という対話的セッションが行われました。そしてAPAN(アジア太平洋地域適応ネットワーク/タイ)、IAI(地球変動に関する汎アメリカ研究機関/ブラジル)、LoCARNet(低炭素アジア研究ネットワーク/日本)、MAIRS(モンスーンアジア統合地域研究/中国)、NRCT(タイ国立研究評議会/タイ)、USGCRP(アメリカ地球変動研究プログラム/アメリカ)といったさまざまな国際組織の代表がAPNの持つ独自の強みを考慮し、APNがさらに国際的連携を強めていけるという見通しと多くの可能性を示してくれました。

APN事務局長、竹本明生は、“われわれが戦略計画フェーズ4に向かっていく中で、APNが先進国、途上国に基盤を置くさまざまな研究助成機関とより密接な連携を築いていくことがとても重要とおもわれます。たとえば共通の研究プログラムのもと共同出資で助成をおこなうといったことも可能でしょう。”と述べました。

この共同出資でお互いに利益をもたらすという戦略についてはさらなる対話的セッションももたれました。ブータン、ネパール、スリランカ、タイからの代表者が地球変動研究に対する地域的な取り組みを強化する有益で革新的なアイデアを会議で共有してくれました。

これらの議論の成果は2014年の夏に発行されるIGM会議紀要にまとめられ、オンライン上で共有できるようになります。

これらの実りある議論に加えて、IGMではAPNが20周年を迎えるあたり企画されているさまざまな活動、2015年秋に予定しているオープンサイエンスカンファレンスを含む、や第20回IGM/SPG会議に関する活動が承認を受けました。

その他の重要項目

IGMでは他にこのような事項の決定も行われています:

  •  新規の能力開発活動計画。これにはラオスで行われるProposal Development Training Workshop(プロポーザル応募のためのワークショップ)やSTART International(地球変動に関する分析、研究、研修システム)と共同で開催する“PAN Asia Risk Reduction”フェローシッププログラムが含まれます。
  • 各地域ごとの活動のための制度基準を強化し、APNフレームワーク文書に関連条項とガイダンスを加えること。
  • IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)、 IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)、 UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)といった国際的な枠組みへの参加を続けること。
  • 2014年度の後期に中国で開催するアジア太平洋地域の都心部での大気汚染管理に関する専門家会議の企画。また兵庫県との共同開催となる里山とその生態系、および持続可能な開発に関するシンポジウムの企画も含まれます。

ポスターセッションおよびミトラ地球変動研究

会議一日目にはカンボジアの若手研究者の研究成果を会議に参加いただいた多くの科学者と政策立案者に紹介するためのポスターセッションが開催されました。今年はカンボジアにある東南アジア最大の淡水湖、トンレサップ湖に関する研究を取り上げました。IGM参加者より評価をいただき、プノンペンのWetlands Work所属のKhon Putheaさんの“Sanitation technology for a safe environment  in floating communities in Tonle Sap Lake, Cambodia(カンボジア トンレサップ湖の水上コミュニティーにおける安全な環境を保つための衛生技術)”が2014年度のミトラ地球変動研究賞を受賞しました。

ミトラ地球変動賞は1996年から2007年までAPNで価格企画グループメンバーとして、優れた科学的助言をわれわれに与え続けてくださいました故Ashesh Proshad Mitra博士・名誉教授の業績を称えるために創設されました。

第19回IGM/SPG 会議について

第19回IGM/SPG 会議は2014年3月19日から21日まで、カンボジアのシェムリアップにてカンボジア王国環境省主催で開催されました。

会議はAPN加盟国22カ国のうち18カ国からの加盟国代表者、招待専門科学者、そして兵庫県、地球環境戦略研究機関(IGES)、カンボジア工科大学、LCS-RNet/LoCARNet、タイ国立研究評議会といった組織からの代表者が参加いたしました。

また次のカンボジア国内の省庁、研究機関よりも代表者の参加を得ています。シェムリアップ州政府、カンボジア王国政府より産業工芸庁、農林水産庁、国土管理庁、都市計画建設部門、シェムリアップ地域およびアンコール遺跡保存計画機関(APSARA)カンボジア王立学士院、プノンペン王立大学(RUPP)。